imeege.jpg (27604 バイト)
Home
経営セミナー
マネジメントスクール
経営コンサルティング
P.F.ドラッカー
ドラッカー名言録

e-Learning

講師プロフィール
国永秀男の経営コラム
会社概要

お問い合わせ mail

link

ドラッカー塾開催中
ダイヤモンド社主催

 


   ●ドラッカー名言録

ドラッカー名言録5

 「昨日を捨てよ」

 ドラッカーの数多くの至言の中で、まさにそのとおりなのだが、最も実行しにくいのが、この言葉に盛られた体系的放棄≠ナあるといわれている。

 ドラッカーは、すでに40年も前から、この「捨てろ(abandon=アバンドン)」を口を酸っぱくして、米国内外のビジネスマンに説きつづけてきたが、なかなか実践されないのがこのすすめである。しかし、敢然と実行した企業組織は成功したり、見事に起死回生を果たしているのだが。

 このアバンドンという語は、「a=under(アンダー=その下に)+ban(バン=禁止する)」という古い英語に由来しており、「捨てる、見放す、悪い習慣を止める、諦める、断念する・・・・・」など様々のニュアンスを含んだ言葉である。

 そして「変革」と「革新」の推進を企業の根本的なあり方とするドラッカーからすれば、このアバンドンこそ、企業としてのサバイバルへの根源的なあり方になるのである。

 そして革新というのは、単に新しくしたり新奇なものを取り入れることではない。全く新しい、しかも機能する新機軸を打ち出すことだというのがドラッカーの主張なのである。

 したがって「アバンドン」の趣旨は、「もはや成果を上げられなくなったものや、貢献できなくなったものに投入している資源を引き揚げること」である。そこから、「咋日を捨てることなくして明日をつくることはできない」と、最近著の『明日を支配するもの』の第三章「チェンジ・リーダーの条件」の中でも喝破している発言が出てくるのである。

 これは、近代資本主義のエッセンスを「創造的破壊」だとした、ドラッカーと同じくオーストリア生まれで後に米国に移った経済学者のJ・A・シュンペーター(一八四三〜一九五〇)の主張と基本的には軌を一にするが、それをビジネス経営の場からの提言だといってよい。

 しかし、捨てるとか廃棄するといっても、ドラッカーはムヤミヤタラにストップすることを促しているのではない。「体系的(システマティック)に廃棄せよ」といっているのである。

 さらに、いますでに行なっていることの廃棄、しかも行ない方の廃棄までも含めていることに注目しなければならない。そして、システマティックに廃棄すべきかどうかを判断する評価基準としては、あらゆることに関して、あたかも行なっていなかったというゼロベースの仮定によって、いま、この段階でやるか、始めるかという根源問いをせよと述べている。したがって、すべてを白紙に戻して問い直すこと、ご破算にして考え直すことを敢然と行なえと示唆しているのである。

 この考え方を近年、ドラスティックに継承したのが、ビジネス・プロセス・リエンジニアリング(BPR)の手法なのである。

 そして答えがノーだったら、検討しようとか、吟味し直そうなどという御託宣をグダグダ言わずに、いま直ちにストップさせるべく行動することを強く説いているのである。

 かつてドラッカーは、廃棄ができないことを「経営者のわれへの投資」として戒めていて、これが企業の生命とりになることを力説していたが、その主張はいまもなお変わっていないといえよう。

 日本の企業、特に伝統的企業がいま迫られていることは、実はこのシステマティックにアバンドンすることなのである。日本の古い諺の「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」にもどこか通うところのあるこのアドバイスを、ひとつ経営者はしっかり認識して実践してほしいところである。

 

     

←TOP