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   ●ドラッカー名言録

 ドラッカー名言録32
「知識労働者がすべて同質のものだなどと考えたら、大間違いである」

 
 この言葉も、前号本欄の 「伝統的な労働力体制の下にあっては、働く人々がシステムに仕えたが、知識労働力体制の下では、システムこそが働く人々に仕えなければならない」という発言がなされた『ハーバード・ビジネス・レビュー』 の二月号からとったものである。この記事は、ドラッカーが公的に発表したものの中では最新のものである。
 さて、ドラッカーが四半世紀以前に唱導し、すでに世界的に定着した「知識労働」とか「知識労働者」について、どうも最近はやや思い違いをしている人が多いというドラッカーの懸念が、この言葉には潜んでいる。
 したがって、先の言葉に続いてドラッカーはこう言う。
「知識というものは、専門化されてこそ、その効果を上げ得る。この点は、特に知識労働者として最急速成長しているグループにおいて著しい。すなわち、コンピュータ修理者、法務支援業務(パラリーガル)、ソフトウェア・プログラマーなどという知識テクノジー分野についてしかりだ」 知識労働は専門化すればするほど、ますます細かく深く分裂し、分断化される。
 そして、病院の例を挙げる。病院は最も複雑な人間組織であるとともに、過去三、四十年の間に各先進国においては最も早く伸びた組織である。三〇〇床ほどの中規模病院であっても、三〇〇〇人近い人がそこで働いているが、その約半分がなんらかの知識労働者である。その中では看護婦と病院業務運営に携わっているスペシャリストが最大の集団をなしている。
しかし、さらに、準医療専門家とされるセラピスト、実験室員、精神ケースワーカー、腫瘍摘出手術準備要員、睡眠クリニック担当者、レントゲン技師、循環器関連スペシャリストなどたくさんいる。
 そして、各スペシャリストは、それぞれ異なった学歴を持ち、資格検定をパスし、異なる規則の下で働く。しかも、各スペシャリストの数はせいぜい一〇人程度であり、それを統合的に統括する管理者の仕事はまことに大変なものであり、その上位の病院管理者になろうとする人はつらい。
 さて、企業の場合は、これほど多岐にわたらないが、次第にこうした形態に近づいてきているとする。百貨店の場合は仕入れ、販売、販促など一五ほどのスペシャリスト群が存在し、金融関係でも同じようなスペシャリゼイションが進み、同一組織内でキャリアを伸ばす機会が少なくなってきている。
 このように分析してきたドラッカーは、知識労働社会へのシフトはわずかここ五、六十年前からのことなので、企業も社会もまだ十分な用意や調整ができていないとする。
 新しい価値観、新しいゴール、新しい方針が整っていない。
 したがって、このままでいけば、口先でトップがお題目を唱えている「従業員こそがわが社の最大の資産」という言葉が、逆に「最大の負債で重荷」となりかねないと警告し、真剣に新事態への企業ごとの対応を工夫すべきであると説くのである。

   

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