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ドラッカー名言録

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   ●ドラッカー名言録

ドラッカー名言録7

 「物事は、人が思ったり、言ったりすることの2倍かかる」

 ドラッカーは自分の主張なり提言を「原則」ということはあっても、「法則」などと呼んで絶対視することはない。

 しかし、一つだけ「ドラッカーの法則」と自ら称したことがある―――実は半分冗談として、かつて述べたものである。しかしユーモラスに述べたものとはいえ、かなりの実践的$^理を含んでいるルールである。

 それが、標題に掲げた「物事は2倍かかる」の原則である。これは別に科学的な裏付けのある法則ではなくて、ドラッカーが時おり行なう一種の“断定的叙述”といえるものの一つである。

 これをかつて発したときは、マーフィーの法則「悪いことは必ずもっと悪くなる」とかピーターの「役人の数は仕事の量と関係なく増える」とか「人は無能のレベルまで昇進する」といった疑似法則が何かとはやっていた。そんな折「君たちは『ドラッカーの法則』というのがあるのを知っているか」とイタズラっぽくいい、「事柄は当人がこれだけかかるといっている時間の2倍かかる」がそれだと、のたもうた。

 なるほど、これは部下や他の人々が所要時間や見込み時間についていってきたときに、この倍を心の中で予期していれば、遅れたとか、裏切られたとか、約束を破ったなどとカリカリしなくてよいので、まことに役立つ実際的なガイドラインである。

 また、逆に自分が設定する締切りやターゲット時間に関しても、甘く見積もったりするのを事前に防ぐ妙法でもある。したがって、お互いの精神衛生上、大変によろしいルールだといえるのである。

 時間管理については、かねてからドラッカーは、人間の貴重な資源として、集中化とか、コマギレ分散化の排除などをすすめ、相当な関心を抱いているが、いかにもドラッカーらしいリアリスティックな提言であるといえよう。

 これはまた、ドラッカーが「われわれ人間は、たいていの場合、自分の能力や自分の重要性を過小評価するよりは過大評価しがちである」という別の場の発言にも関わるものである。

 さらに、「マネジャーは、非常に効果的な人ですら、いまだ数多くの不必要な、そして非生産的な仕事をしている」という洞察にも関係した発言である。

 そして、ドラッカーは「自分がそうだと思い込んでいる主観的な時間の使い方と、実際に調べてみて判明する客観的な費やし方との間には、非常に大きなギャップがある」ことをつとに指摘しているが、そのことにも関連している。

 何事にもすぐに安易に飛びつきやすい筆者などは、このドラッカーの二倍の法則ではいまだ不十分で、少なくとも三倍くらいかかると考えるべきかな、などと正直思っている。

 その昔、リコーの創業者の市村清が、「アイデアを生むのは一、それを企画にまとめるのにはその二倍、実行するには一〇〇倍の時間とエネルギーがかかる」と洩らしていたのをここで思い出さざるを得ない。

 

                

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