ドラッカー名言録72
「企業にとって何よりも大事なのは、新しい生きた「アイデア」をどう生むかだ」
昔から、「イノベーションを最大限のものにせよ。そして現在、可能なことを最大限効果的に生かさなければいけない」と、ドラッカーは口が酸っぱくなるほど主張している。イノベーションの特性とは、他の人々にとっては何ら関連のないバラバラの要素に、新しいシステムを見出すことだ。
そのために必要なのは、勇を鼓して自らユニークに思考することである。既成概念に対して、あえて顔を背ける人が企業の中にいなければ、その会社の成長は到底望めない。企業の成長の基本となるものが、このアイデアであるが、場合によっては単なるイノベーションではなく、「発明」と言ってもよい。また、新しい科学知識やその応用、社会現象や経済現象の利用も同様である。
すなわち企業活動とは、1つの(賭け)である。すべての事業は、現在の資源を未来の可能性に投資する賭けなのだ。そして、ありとあらゆる事業の狙いとか目論見というものは結局、すべて「ディープ・イントゥ・ダークネス」(暗闇の中への飛躍)である。
それには勇気と信念を必要とするので、どうしても心あるトップが腹を据えて決断しなければならない。こうした事業に関する決断は、我々人間を過去に拘束するものではなく、未来の形成に対して一歩、踏み込ませるものであるとドラッカーは言う。
そうしたアイデアの中には、大きな抜本的なものもあろうし、逆にごく小さなものでありながら、大事な部分が抜けている点を新しく組み立てる役割を担うものもあろう。
このように、イノベーションが最大限の機会をもたらすようにするには、すでに可能なものを、より効果的にするために欠けているのは何かとか、現在の経済的な成果よりも、一歩でも前進させるものは何かとか、小さいものでよいから今、使っている諸資源の全能力を変革させるものは何かなど、くどいほど自ら考えて問いかけることだともドラッカーは言っている。
ニーズを単に描き出すだけでは十分ではない。しかし、まずニーズをはっきりさせることは、望ましい成果を具体化する第一歩である。「得るものは何か」を決めなければならない。したがって、いわゆるイノベーションは、ビジネスの潜在的な力を発見し、未来につなげることだ。だからこそ、このような問いかけと賭けに関する考え方をつなぐことが根本だと、ドラッカーはかねてから主張しているのだ。
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