ドラッカー名言録71
「イノベーションとアントルプルヌールシップは、マネジメントという規律の中枢である」
企業家精神は、マネジメントの本質的な、そして必然的な一部である。いかなる組織も、それが成功裡に革新をしていかなければ長続きはしない。すなわち「成功する企業家精神」に基づいていなければならないのである。そして、いかなる企業といえども、たとえそれがどのように革新的であったとしても、成功裡に管理しない限り、生き残ることはできない。つまり企業家活動は、成功裡に動かされなければならないし、また、同じくイノベーションも成功裡に行わなければならないものなのだ。
この2つは、実は異なるものであって、それぞれ違った問いかけを発する。それぞれ異なった価値観を要求し、さらに異なったパーソナリティすら要求する。しかし、人間の2つの手のように完全に異なるが、相互に依存し合う関係を保っている。このことを理解しなければならないと、最近ドラッカーは強調している。
60年以上にわたりドラッカーは、マネジメントに関する研究や主張の中で、革新と企業家精神は、マネジメントという規律において、主要な部分を占めることを説いてきた。しかも、それぞれが非常に厳密な規律を要求しているのである。革新と企業家精神は、決して天才でなければできないものではなく、また単なる思いつきやインスピレーションのことでもない。革新と企業家精神は、系統的な方法論と厳密な規律を強く要求するものなのである。
したがって最近、ドラッカーが韓国で発表した著作にも、企業家へのアドバイスなどというように、このシステマチックな形態を提供したいという主張が含まれている。そして韓国について言うならば、ドラッカーはこの規律こそ、韓国が20世紀後半において特に強く、また大きく要求されてきたことを強調している。
ドラッカーの見解によれば、韓国がドラマチックに大きく変容し始めたのは、経営面でのさまざまな達成がなされたからである。また、韓国のビジネスや産業の多くは、先進国(西側諸国と日本)が既によりよく成し遂げていることを、急速に達成し始めている。よく、韓国の業績が伸びていることを、単にチープ・レイバーによるしろものと説く人がいるが、これはまったくの誤りであるとドラッカーは言う。現に、韓国の労働は決してチープ・レイバーなどではない。したがって、韓国の業績はマネジメントが達成したものであり、企業家精神と革新とを重要視した結果であると言えるのである。
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