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   ●ドラッカー名言録

ドラッカー名言録70

「CEOは、組織の中において権力を中心ではなく、責任を中心に考えるべきである」

 CEO(チーフ・エグゼクティブ・オフィサー=最高経営執行責任者)というのはアメリカの発明であると、ドラッカーは面白いことを言っている。これは、現代の経営組織に対して、アメリカが行った貢献の中の重要な1つであるとも言える。CEOとしての独自の仕事はないということが、今ではごく当たり前のように考えられている。基本的にはコーチであり、管理責任がうまくいかない時には自ら出かけていって、その中の人間として統括を推進する存在だと見られているのだ。しかしドラッカーは、この今日の考え方は自分が学んだCEOのあり方ではなかったと言う。そこで今回は、ドラッカーが理想とするCEOの具体的な仕事について考えてみよう。
 さて、第1に言えることは、CEOは「責任のある職務」だということだ。すなわち、通常よく誤って言われるように、権力があるということにアクセントを置いた表現ではない。もちろんどんな職務であれ、その持つ権力によって仕事を定義づけることはできるが、CEOの場合大事なのは、そこから期待し得る結果が大事なのである。CEOは、組織の使命に対して責任を持ち、その行動や価値観や結果に対しても責任を負う仕事である。したがって、最も重要な言葉は「結果」である。それが故にCEOは、自らが奉仕する組織の他の職務とは異なるのである。
 第2に強調すべきことは、CEOは組織を結びつける「要」だということである。組織の中にあるのはコストだけであるから、そのコストを結びつける要であるとも言える。
 したがって組織の外部は、前述のように結果あるのみである。ということは、CEOは組織の中の情報について真剣に考えること、すなわち外部に関する情報についてじっくりと考え、そのためにどう万事を組織化したらよいかを考えなくてはならないことを意味する。残念ながら、CEOの中でこの点をとっくり考えている人は、今のところ実に少ない。しかし、これこそ今後真剣に処理すべき重要な課題の1つなのである。
 第3に重要なことは、CEOが果たすべきこととして、「我々の事業は何か」を真剣に考え定めることである。事業がどうあるべきか、どうあってはならないかについて、真剣に考慮するのがCEOなのである。そして、一度この点が明確に定まるならば、CEOこそ、組織として意味のある成果を考え出すことができるとドラッカーは断言する。

 

 

 

 

   

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