ドラッカー名言録69
「問題の明確化としっかりした定義づけができ、それによって観察可能なすべての事実を網羅しうるまでは、そうした問題の定義づけは不完全であったり、間違ったものになる」
これはドラッカーが、問題を明らかにし定義づけすることについて語る際、昔から言っている言葉である。
彼は、効果的な意思決定を行うには、何が正しくあるべき問題かを明確化することが根本だと指摘する。そしてそのためには、@それはそもそも一体、何に関する事か、Aここで関わり合いが出てくるものは何か、Bこの状況でカギとなる事柄は何か、これら3つのポイントを明確化しておかねばならない。
こうした問いかけは、問題の定義づけと明確化に関しては極めて重要な事柄である。問題に対してはすべての角度からこれを考慮・検討し、その中で本当に適切で正確で正しい問題に対処できるようにしなければならない。この点を確実にするには、その問題が正しく定義づけられ、関連する観察可能な事実やデータに照らせられることが肝要であるというのが、その趣旨である。
問題の定義づけが、すべての観察しうる事実を説明し尽くしていない限り、問題の定義づけは不完全だったり、間違った定義にベースを置くことになる。だがしかし、一度、問題が正確に定義づけられるようになっていれば、その際の意思決定は、通常、極めて容易になるのである。
したがって、こうした際のアクション・ポイントとしては、組織の中で正しい答えを出したのに、それが誤ったあるいは間違った問題に対処するような状況かどうかを十分に吟味することが必要である。
また、正しい問題に適切に対処するには、別のやり方が確実な方法としてありはしないかをも再検討する必要がある。
間違った問題に対して正しい答えを出すのは、極めて難しい。効果的な意思決定をするには、問題を適切に明確化することこそ最も重要な要素であることを、ドラッカーは繰り返し我々に説く。
また、昔からアメリカで言われるように、よく自分の行った決定を売り込むことを奨励するが、そうしたことが有効な手立てとなることはほぼありえないと、ドラッカーは断言していることにも心しておきたい。
したがって、組織の中だけで考えるのではなく、「ゴー・アウト」(外へ出て)し、実際に試してみて、その場で正しいフィードバックが得られるかどうか、そこでの意思決定が意図した結果を果たして生むかどうかを十分チェックしなければ、問題の明確化や定義づけができないことを説いていることも、忘れてはならない。
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