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ドラッカー名言録

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   ●ドラッカー名言録

ドラッカー名言録68

「神々はすべてを見通しているから、どんなに難しくても、自分の仕事は完璧を期せよ」

 これは、ドラッカーがアジアについて語った時にもらした言葉である。
 私自身が次の問いを投げかけた時も、同じ答えが返ってきた。「今まで書いた数十冊の本の中で、どの本が一番よい本だと考えますか」との問いに対して、「ザ・ネクスト(次の作品だ)」という答えが、ドラッカーの場合、いつも戻ってくるのだ。
 この言い方についてドラッカーは、「これは何も冗談半分で言っているのではなく、真面目な気持ちで述べているのだ」と答える。実は、これは音楽家のベルディが、80歳になってオペラを書いた時に問われて語った言葉だが、自分もまったく同じ気持ちだと言っているのである。そしてドラッカーは、ベルディがオペラ『フォルスタッフ』を書いた時、80歳ながらも、「次の作品こそ自分のベストだ」と答えたのと、まったく同じ考え方だと、いつも強調する。
 今年95歳のドラッカー自身は、ベルディと同じ80歳を過ぎた後でも、今の、またこれからの作品に関しても、自分の今までのすべての作品よりもよくしたいという気持ちに変わりはないと力説している。次の作品こそ、少しでも今までよりも傑出したものに近くなる、またそうしたいと信じている、と言うのだ。
 この発言に関して、さらにドラッカーは、古代ギリシャの偉大な彫刻家であるフィディアスの、次のような逸話を必ずつけ加える。
 フィディアスは、西暦440年頃に製作した、アテネにあるパルテノンの上部の彫像に関して、アテネ市に請求書を出したところ、その支払いを拒否された。会計担当者が言うには、「あんな高い所にあって、正面の一部しか見ることができないのに、あたかも裏も表も全部見えるがごとく計算して、その分まで請求しているが、それは不合理である。誰も、そんな全部見えはしないのだから」というのが理屈である。しかし、これに対してフィディアスは、「とんでもない、神様は全部見ているのだ」と答えたという。
 ドラッカーは、「人間として完璧なものは到底つくることはできないが、いつもそれを追い求めるのが務めである」とかねてから語っており、その一語と例示に如実に示されているエピソードである。自分は不完全な人間だが、絶えずよりよきものを追求していく存在でありたいと語るドラッカーは、歌舞伎の6代目尾上菊五郎がその辞世として、「未だ足らぬ、踊り踊りてあの世まで」と詠んだのと、似た気持ちなのであろう。

 

 

 

 

   

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