ドラッカー名言録28
「蛙の卵が池からなくならないのと同様に、アイデアは決して枯渇することはない」
これは、マネジメントとアイデアについてドラッカーが説いた一節の中の言葉である。この直前で、アイデアはもともと自然の一部として存在し、その自然の中から生まれ、見つかるものだという発言がなされている。
しかし、自然というのは、放っておくと浪費するものであるから、その中のアイデアも、どんどん出てくるし、発見もできることに注目せよと、ドラッカーは言っているのである。
しかし、そこで大事なのは、無数のアイデアの中から生き残り、結果を生むものを見つけるには、まずもって、こうしたたくさんのアイデアに触れ、持たなければならないとしている。しかも、たくさんのアイデアのうち、どれが生き残るのか、成長するのか、成熟するのかは、前もって誰にもわからないと釘をさす。
したがって、ちょうどブレインストーミングの第一原則のように「量をもって尊しとなす」でいくべきだとする。だから、ビジネスマンとしてなすべきことは、限られた少ないアイデア・ソースから考えるのではなくて、目を開き、耳を澄まし、表へ出て、広くアイデアと刺激を求めることが大事だという結論になる。
また、食わず嫌いをせずに、旺盛な好奇心でもって、自分の問題意識や疑問を解くカギやヒントになりそうなものに貪欲に食いついていけとハッパをかける。
第二に、革新の源泉としてドラッカーがよく説くように、自分がやってみたところ、予期しない成功で大当たりしたり、逆に手痛い打撃を蒙ったことからも、実は良いアイデアのきっかけがつかめるということを指摘している。
自分の知恵と判断で、必ずこうだと思ったことがはずれた背後には、必ずや何らかの新しい動き、チャンス、それまで見えなかった潜在マーケットが潜んでいる…と考えるべきだというわけである。
第三に、アイデア開発に関しては、歴史からの教訓をと言っている。ということは、洋の東西を問わず、人間の歴史をシャープな問題意識でひもとけば、必ずやそこに無限に近いヒント、類似、キッカケが発見できるという。
ドラッカーは、また別のところで、「天が下、新しきものなし」という趣旨の発言をしている。ということは、この社会のさまざまな出来事や動きのほとんどは、これまでのものの「新しい組合せ」であることが多いという主張なのである。
ということは、○△が△○になったり、△−〇が〇−△になるだけで、すなわち、組合せを変えるだけで全く新しいものが出現する可能性があることを忘れるなという趣旨である。
「見なれたものの中で長く浸ってはいけない。見なれたものから見なれぬ組合せを生み出したり、見なれぬものを見つけることがアイデア探求なのである」というドラッカーの言葉をよく噛みしめてみよう。
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