ドラッカー名言録41
「生産性の本質を測る真の基準は量ではなくて、質である」
最近、ドラッカーの業績に関して、南カリフォルニア大学のJ・オトゥール教授が、ドラッカーが初めて主張したり提示した十一の事項を次のようにまとめたものが発表されている。
@品質こそ、生産性の真の尺度であること
A経営管理者の役割を、企業文化の守り手として明確化したこと
Bメンタリング(部下の特別指導)やキャリア・プランニングや、能力開発を、トップ・マネジメントの課題だとしたこと
C企業の成功は、トップが表明するビジョン、いつにかかっていること
D企業の構造(組織形態やシステム)は、企業戦略に従うべきものであること
Eトップと第一線の間の管理階層を減らすことが肝要であること
F企業の成功はベイシックス(資本・原点)を正しく守ることからもたらされること
G組織の主要目的は、顧客(市場)の創造であること
H企業の成功は結局のところ、消費者への感性と革新的な製品やサービスを提供することにあること
I知識労働と知識労働者が登場してきて主力になること
J脱工業化社会においては、経営への新しいアプローチが必要となること
その中のトップに掲げたのが、今回の名言である。
知識社会の時代になれば、消費者の所得水準だけでなくて、知識水準も高度化する。したがって、その求めるところ、すなわち希求水準・期待水準も高まるので、生活の質、商品の質、サービスの質、システムの質に対しての要求も当然高度化するとドラッカーは見るのである。
生産性(プロダクティビティ)というと、つい、その言葉の源であるプロデュース(製造する)やプロダクト(製品)にひかれて、とかく数量(クオンティ)を第一義的に意識しがちである。
しかし、ドラッカーはいくらオシャカをせっせとつくってもナンセンスであるという。品質(クオリティ)の優れたものをどれだけつくり出せるのかが、本当の生産性の判断基準だということを、すでに四〇年前から口を酸っぱくして説いていることに今回は注目し、この嘉言をともによく味わいたい。 |