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ドラッカー名言録

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   ●ドラッカー名言録

ドラッカー名言録59

「自分が得意だと思っていることに、溺れるな。物事の"本質"を鋭く透察する心を持て。」

  ドラッカーは、本当の意味での強みと、自分が勝手に強みだと思い込んでいることを混同してはならないと、強く戒めている。面白いのは、ドラッカーがこの点について、「自分が得意だと言っていることは、信用してはならない。得意でないと言っていることは、大体信用してよい」と、日本の江戸初期の本に善かれた文章を引いて、戒めていることである。
  したがって、自分が有能だと思い込んでいるものを、そのまま額面どおり受けとってはならない。優秀かどうかは、実際の業績を見て判断すべきである。同時に、自分だけの意見ではなく、色々な人達の意見も徴すべきであろう。
  この際、アメリカ的に言うならば、一番よいのは、奥さんのお母さんあたりで、かなり辛辣で皮肉な見方をする人に意見を聞くことだ。十分評価し、考え抜いた上で、その活動領域の1つについて、自分が優秀であることが名実ともに分かれば、その時にこそ、その業務を遂行するべきであろう。
  さらに、人間の強みは、それぞれの活動領域について事情が異なり、また国毎の状況も異なるので、仮に自分で主要活動領域だと理解できたとしても、すぐにそのジャンルにジャンプ・インツゥしてはならないとも、ドラッカーは言う。一見、遠回りのようだが、こういう大事な点については、十分に時間をかけて行うべきなのだ。
  例えば、優れたエンジニアがいたとする。工ンジニアには、当然、鋭い分析力が伴わなければならない。だから、通常のエンジニアは「俺は優秀な分析力があるので、経営力としても優れたものを持っているんだ」と思い込みがちである。が、これはとんでもない間違いである。
  なるほど、分析力はエンジニアとしても、マネジャーとしても、重要な経営力への第一歩であることは間違いない。しかし、単なるアナリシスをする力ではなく、むしろ新しく物事を構築し、構成し、統合する力こそ、真のマネジャーとしての経営力である。
  また、単なる分析力だけではなく、そこには直観力が作用していなければならない。すなわち、物事の本質を鋭く透察する心がなければいけない、とドラッカーは指摘する。さらに彼は、適切な価値判断ができるだけの判断力が伴ってなければならず、何も分析力だけが重要なのではない、としている。

 

   

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