ドラッカー名言録61
「経営者が第1になすべき、また絶えず行うべき職責は、現存の資源を用いて最高の成果をあげることである」
経営者がなすべきだとされていること、あるいは、自分自身が従っていることも、そのすべては実質上の経済的な成果≠ネり実績≠上げることに比べれば、二義的なものである。企業の社会的責任の重要性を考えたり、経営の文化面の活動を重視したりする高邁な仕事といえども、この大前提をはみ出しては考えられない。
だから経営者は、大部分の時間を目先の経済的な成果を上げることのみに費やしているが、実はそれは極めて大事なことである。
したがって、経営関係の書籍や資料の中の90%までが、また企業内で作成・報告されているリポートの大半が、経済面での成果を上げるためのものであるのも、当然であろう。
しかし、自分の実績に満足している経営者が、あまり見当たらないのが現実である。仕事の手順を上手に立て、大事なこととクダラヌことをきちんと見分けるには、一体どうしたらよいかと悩んでいる。
このように、今日の経営者は、その報告書やデータ、コミュニケーションの洪水に押し流されつつ、しきりにあがいているにもかかわらず、結局は、何か漠然として捉えどころのないものをとりあえず得ているにしかすぎない。「自分がこの会社の経済的業績を実質的にあげるカギは、一体何か」という問いに対して″原価の低減≠ニか″利潤の高度化≠ニいうような、昔ながらの陳腐な決まり文句が出てくるのが関の山である。
日本の企業経営の一部にようやく光が射し、若干売り手℃s場ブームになりかけた側面がある時でさえ、経営業績を上げるための勘所は何かという問いへの答えは、なかなか出てこなかった。
時代が変わり、市場競争は再び激烈となり、買い手℃s場となっても、業績を上げるための経営管理は、依然として混乱と不安と緊張をいたずらに生み出すだけである。例え、短期的な事柄に関する決定でさえ、ほとんどの場合は正しくは行われず、会社の将来などについてはまったくお寒い状態である。
そこで必要なものは、
@経営者の職務は、一体何なのか
Aその中でも何が大事な問題なのか
B問題を見極め、分析する原理は何か
という3つの問題の答えを出すのに役立つ実践的な考え方であり、基本的な経験原則であると、ドラッカーが説いていることを真剣に考え直そう。
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