ドラッカー名言録77
「効率性には3つの領域がある」
ドラッカーはかねてから、効率性を考える場合、次の3つの大きな領域が存在するということを強調している。
第1の領域は、人間の時間に関する点である。一貫した観察を行い、時間を最高度に貢献させるためには正しく使用することが重要だ。これにはどうしても、「優先順位(プライオリティ)」の決定を含む。優先順位の決定を正しく下すまでは、われわれは単に「優れたプランを抱えている」にすぎないとドラッカーは言う。
第2の領域は、貢献に対する責任や、経営に関する適切な知識、訓練、教育を自ら引き受けることだとする。すなわち、現代の企業においては、「現代の組織」という恐ろしいほど複雑な制度や構造を築いて発展させることが必要なので、どうしてもそれに対する主要なアプローチと訓練の方法を心得ていなければならないというのである。
第3の領域は、ドラッカーが口を酸っぱくして説いていることなのだが、自らの「強み」について絶えず意識的に探求し、そして、その強みをベースにした仕事を築き上げるという点である。
これら3つの重要な領域は、一見難しいようであるが、誰もが努力によって実行することが可能だとドラッカーは言う。
そして、それが可能な経営者以上に優れた効率を上げる組織といったものは存在しないと続ける。
どんなに多くの従業員がいようとも、会社の業績は、最終的には経営者のクオリティに左右される。
経営者は企業が効率的であるための「機関」であり、アイデアと知識と仕事とを業績に変換させていく存在なのである。
こうした経営者の仕事は、よく世間で言われているような、他の人々を管理することからスタートするものではなく、自分自身を管理する仕事から始まるのだと、ドラッカーは力説している。
真の「自己管理」ができなければ、何事も達成することは不可能であるが、効率的な経営者になるのは、決して不可能なことではない。
しかしドラッカーは、効率のよい経営者になることは、正直に言って、すべてが大変な難事であるとしている。
そのためには、どうしても積極的によい習慣を身に付けなければならないし、それを繰り返し行うことによってこそ、文字通り、習慣が「第2の天性」となるとする。
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