ドラッカー名言録78
「経営者の仕事は、ほかの人々を管理することから始まるものではない」
とかく経営者や管理者などというと、部下やそのほかの人々を管理することからすべては始まると、アメリカでも日本でも思い込んでいる人は多い。ドラッカーは、それはとんでもないミステイクだと断言する。
すべては、自分自身を適切に管理するという仕事から始まるのだと強調する。自己管理ができなければ、何事も達成することは不可能であるともドラッカーは続ける。
よくいわれている効率的な経営者や、効果性が高い管理者になることは、難しいことではあるが、決して不可能ではない。
しかしながら、効率性の高い経営者になるということは、正直に言って、実はすべてが大変困難なことであるともドラッカーは認めているのだ。
それには1回や2回限りの努力ではなくて、積極的によい習慣を付けることから始まらなければいけないからである。
しかも、そうしたことを何回も繰り返し行うことによって、初めてそうした習慣が「第2の天性」になるとドラッカーは主張する。
またドラッカーは、不幸にも、なかなか数の少ない真に効率的な経営者と、ただ頭がいささかよいだけの大多数の経営者との違いには、恐るべきものすらあると言っている。
したがって、われわれに課されている最大の仕事は、ただ頭がよい平均的な経営者を、本当の意味での効率的な経営者の水準にまでレベルアップすることであるとする。言葉では簡単だが、この両者のギャップはかなり大きいとドラッカーは昔から言っている。
「効率性」という言葉は、しばしばわれわれも口にするが、それをめぐる未開拓の分野は極めて広く、かつ大きいものであることを認識しなければいけない。
そのために何をなすべきかの仕事については、相当分かってきている。ここに、ドラッカーのいわばお得意の表現である「強みの上に己を築け」という勧めが登場する。
そのためには、自分の強みと、組織や会社の強みは何かを絶えず意識的に探求し、その強みを基礎としてそれぞれの仕事を築かなければならない。
そしてこれらのことは、誰しもがその気になれば、十分実行し得るのだとドラッカーは主張する。
しかし、これはかなり骨の折れる仕事であるので、よく考え少しずつ実践的に行動することが肝要だとドラッカーは勧めている。
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